広報・啓発事業

第8回福祉講演会「日本の教育における格差と貧困~奨学金問題」

講師

弁護士 西 博和氏

(北海道学費と奨学金を考える会インクル代表)

日時

2016年11月10日(木)

10:00~12:00

会場

コープさっぽろ宅配中央センター3階会議室

主催

公益財団法人 コ-プさっぽろ社会福祉基金

共催

コープさっぽろ組合員活動委員会

後援

札幌市教育委員会、北海道生活協同組合連合会、(社福)北海道母子寡婦福祉連合会、(公社)札幌市母子寡婦福祉連合会

報告概要

西さん報告

第一部では、学ぶ権利が憲法や法律で明示されているが、現実には様々な要因で貧困、教育格差の問題が広がっており奨学金制度の大切さが述べられました。

第二部では、具体的な奨学金の返済に関わる問題事例が紹介され、返還猶予制度や制度自体を給付制に変えていく世論作りが紹介されました。

第三部では講演を聞いた方々が、奨学金で悩む方へのアドヴァイザーになりうること相談窓口を紹介できることなど、積極的に関わって欲しい旨が話されました。

参加とアンケート

80名:札幌会場(一般申込44・主催関係36)

63名:各地TV会議場(旭川7・小樽5・帯広14・北広島3・北見5・釧路5・苫小牧8・伊達4・函館9・滝川3)

事前のはがき、Eメール、FAXなどの参加申込者に、締切(10/31)後、参加整理券を発送(11/1)しました。

昨年に続き、共催の組合員活動委員会の協力で地区本部など10箇所をTV会議システムで中継し、多くの方に参加いただきました。

アンケートの回収は、札幌は60名(回収率75%)、各地55名(87%)となりました。

参加は、女性が9割、40代が34%で最大構成でした。

講演会の認知は7割近くが、所属団体からのちらし・案内としています。

8割が社会福祉基金のを知っていると回答、相対的に内部や友誼団体の参加が多かったと思われます。

講演の感想は、9割の方が、大変良かった、良かったとの回答でした。

第7回福祉講演会「“日本の子どもの貧困って”~夢を応援する学習支援活動」

前回第6回講演会でも「こどもの貧困」問題を取り上げましたが、貧困がこどもの生育と学習に大きな影響を与えていることから、具体的な支援として実施されだした学習支援活動を取り上げました。

日時

2015年12月4日(金)

10:00~12:00

会場

コープさっぽろ宅配中央センター3階会議室

主催

公益財団法人 コ-プさっぽろ社会福祉基金

共催

北海道生活協同組合連合会、コープさっぽろ組合員活動委員会

後援

札幌市教育委員会、北海道労働者福祉協議会、反貧困ネット北海道、札幌市母子寡婦福祉連合会

報告概要

報 告 Ⅰ

テーマ解説

杉岡 直人氏(北星学園大学教授)

わが国のこどもの貧困率は、14%(OECDのデーター)と指摘され、また生保受給世帯で30万人、貧困状態とされるこどもの数は300万人に達しいる。阿部彩さん(首都大学教授)などの研究で家庭の貧困がこどもの生育、学歴や職業に影響を与え、格差となっている。2009年から子どもの健全育成事業が始まり2013年には子どもの貧困対策法が制定され、生保世帯だけでない生活困窮者に枠を広げて自立支援事業が各地で取組まれている。今日の「まなべぇ」や「Kacotam」の実践は、学習支援がどのように展開されているか、現状や課題が報告されると思う。社会福祉基金としても学習支援関連の問題を課題にしていきたい。

報 告 Ⅱ

札幌市の学習支援事業「まなべぇ」 

古野 由美子氏(さっぽろ青少年女性活動協会)

青少年女性活動協会は、平成24年札幌市の「学びのサポート事業」を受託して、児童会館を会場に、生保世帯や就学援助世帯の中学生を対象に、学習支援事業を実施している。最初は西区で5会場40人が現在全区30会場500名の規模に広がった。一会場は概ね、児童会館職員2名と大学生5名でこども15名ぐらいで構成され、6時15分から8時15分、週1回2時間の活動が基本だ。 何か教える授業でなく、子どもたちがやりたい、勉強したいものを持ってくる。 学生さんには、単に答えを教えるのでなく、勉強の仕方を教えてと子どもたちには、分からないことはわからないと率直に伝えて、お願いしている。 個別のやりとりだけでなく、自己紹介のゲームやお楽しみ会、また山登りや、大学の学食体験などいろいろな体験学習の機会も設ける。お互いのやり取りの中で、子どもたちには、ここにいていいのだという安心感や、受容感を持ち、自己肯定の気持が出てくる。職員も大学生も大きく変わって、寄り添うことができていく。時には家庭、保護者への関わりが課題になるが、エンパワーメントと言う言葉を大切に、可能性を引き出して行きたい。

報 告 Ⅲ

Kacotam学習支援事業

高橋 勇造氏(NPO法人Kacotam理事長)

児童養護施設での学習ボランティアから始まり、学びの格差の解決を目指し「Kacotam」を立ち上げ、2014年にNPO法人格を取りました。 学ボラ事業は児童養護施設や母子生活支援施設など7~8ヶ所を訪問して、学習支援を実施しています。スタサポ事業は、ひとり親家庭や生保世帯の子ども(小1~高3)を対象にした学習支援で、市内4会場で開催しています。3つめのリラーニング事業は、再度学習を目指す若者を対象にした学習支援です。スタサポ事業は、4会場で80名ぐらいの子どもたちに、国・数・理・社の基本的科目をサポートする事が主たる活動ですが、他にいろいろ 取組んでいます。手稲さと川探検隊の協力で、川遊びとキャンプ等の自然体験学習、藤女子大の協力で料理教室カレー作り、SEAの協力で英会話教室など実施しています。これら新しい体験をすることは、子どもにとって自信や肯定感につながっています。さらなる取り組みとして子どもの悩みや、不安、やりたいと思っていることを形にする取り組みです。ゲームのプログラマーになりたいと考えている高3生に、実際のプログラミング教室を開催したり、希望の職業についている社会人に話を聞きに行く「お仕事Kacotam」、また中3の男の子が料理ができることをヒントに、料理教室の料理長としみんなに食べてもらいたいという希望をかなえるなどです。これらの取り組みは、「学びの機会」を積極的に提供することと「弱いつながり」をつくることに集約されます。後者は、子どもにとって家庭と学校という強い繋がりに、人間関係の選択肢を付加することを意味しています。

参加とアンケート

今回は、共催の組合員活動委員会の要望、協力で地区本部など9箇所をTV会議システムで中継し、札幌会場86名、各地56名と多くの方に参加いただきました。

アンケートの回収は6割でしたが、73%の方が、大変良かったとの回答でした。

第6回福祉講演会「子どもの貧困~夢をあきらめる子どもたち」

日時

2014年12月2日(火)

10:30~12:30

会場

札幌市教育文化会館

講師

山野 良一 明徳短期大学教授

(『なくそう!子どもの貧困』全国ネットワーク世話人)

後援

北海道生活協同組合連合会、コープさっぽろ組合員活動委員会、 札幌市教育委員会、反貧困ネット北海道、札幌市母子寡婦福祉連合会

報告概要

当日は90名の参加でした。

講演は、1.「貧困は貧困だけに終わらない」、2.日本の子どもの貧困の実態、3.卒業クライシスからみえたもの、4.子どもの貧困解決に向けてと、おおまかに4つにわけて、現状や貧困に対する一般理解、さらには施策の方向や考え方を提起していただきました。

1.「貧困は貧困だけに終わらない」

保護司の時代に経験した事例を紹介、経済的困窮は親の長時間労働、保育・家庭環境の悪化、不衛生・不健康、虐待・ネグレクト、家族・近隣からの孤立など複雑に波及、連鎖している。

2.日本の子どもの貧困の実態

多くの方は、日本に貧困はないと考え、また本人の努力の問題ととらえがちだ。しかし、日本の子どもの貧困率は、継続的に上昇、2012年では16%、6人に一人が貧困状態だ。貧困率の出し方を解説し、種々データの国際比較で見ると日本はOECD20カ国の下位のグループになる。また母子家庭の貧困が目立ち働くのに貧困という現実がある。さらに社会保障施策の結果の「所得の再分配」後でも貧困率は下がらない

3.「卒業クライシス」

2010年高校授業料無償化の以前、授業料を滞納すると「卒業証書」が貰えない事例が多発、これに対して「全国ネットワーク」立ち上げたが、DVDを見て欲しい。DVDにあるとおり、貧困化にある生徒は、教育を受ける事を権利とは考えず、また貧困は頑張りが足りないと身体・精神を壊すほど働く羽目になる。わが国の公的教育支出は、OECD諸国の中で最低水準だ。他方で学費は高く、奨学金制度は貧弱で卒業時に数百万円の負債を背負うことは珍しくない。

4.子どもの貧困の解決に向けて

貧困の問題は複合的だ。親の課題、子どもの課題があり、雇用や福祉・教育・保健など多面的支援と連携が必要だ。乳児期の対策も重要だ。「貧困対策促進法」が成立したが、理念的、教育支援中心だ。子どもへの現物給付も検討されるべき。「家庭の貧困」と「子どもの貧困」を切り離して考え、「社会の子ども」という考えをベースにすべきと思う。

会場はほぼ満席でした。

講師の山野先生   

学生さんも質問に立つ

第5回福祉講演会「ごはんを食べたら 地域ができる!?」 

日時

2013年10月24日(木) 

10:30〜12:00

会場

TPKガーデンシティ札幌 きょうさいサロン8階高砂

講師

山田 正幸氏

(NPO法人「ゆめみる」副理事長  登別市連合町内会会長)

杉岡 直人氏 

(北星学園大学 社会福祉学部教授)

後援

札幌市教育委員会、社会福祉法人 北海道社会福祉協議会、 公益財団法人 北海道地域活動振興協会、 一般社団法人 北海道身体障害者福祉協会、 コミュニティ・レストランネットワーク北海道、北海道地域福祉学会

報告概要

地域では少子高齢化や核家族化が進行し各種制度改正により、社会的孤立や経済的困窮など、多様な課題が顕在化し、地域福祉活動の再構築が課題になっています。講師の山田さんは、高齢社会の大きな問題は、①人と話す機会がないこと②行くところがないこと③足 (交通機関)がないこと─の3つです。独居老人が1日にどのくらい話すかの全国調査では、平均2分40秒という統計が出ている。しかし、 これは1年間を平均した会話時間で実際には誰とも話さない日が何日もある、として、登別で実践されている「居場所と語らいの地域食堂づくり、地域で支え合う『NPO ゆめみる』の活動」を報告。それは「地産地消や子育て支援、お年寄りの配食・見守りや地域 のネットワークつくり」に発展していることを報告、 杉岡先生はからは、実践の意義とこれから地域の支え合いや、地域づくりについてのお話がありました。

参加とアンケート

アンケート(48名回収)では、なんと95%の方が、 良かった、大変良かったとされ、" 食べることからつながる地域の支え合いの大切さが勉強になった"、" 運営のコツがわかりやすく理解できた" など地域づくりに関心を持つ方からの声が寄せられました。 

山田正幸氏

会場全景

杉岡直人氏

第4回福祉講演会「これからの社会保障と福祉を考える」 

日時

2012年10月26日(金)

会場

ホテルポールスター札幌

報告概要

2012年度福祉講演会に150名の参加

今年度福祉講演会は、北海道生活協同組合連合会の後援も得て開催され、150名の方々が参加され、宮本太郎先生の貴重な講演に、熱心に耳を傾けました。

宮本先生は、戦後日本の社会保障の特質を指摘、それが90年代半ばより2つの変容(雇用情勢と少子化の中での家族)によって、揺らぎ始め、財政構造がさらに足かせとなっている現状を示めされました。

高齢世代の社会参画と年金問題、若者の就労、女性の参加と子育て支援、生活保護問題等の各課題にも触れつつ、明るい展望を創り上げるべく、掛け捨て型から貯蓄型への税への「負担」観を変える重要性も訴えました。

最後に、新しい福祉国家・福祉社会のかたちとして、雇用か保障かの2者択一ではない就労チャンスや困窮化リスクを分散できる複線型社会、教育~雇用~社会保障の一直線の人生ではない行きつ戻りつの社会、剥き出しの生存競争でも、結果の平等主義でもない参加の機会と場が行き渡る新しい平等社会の3点を提示、広い討議を呼びかけました。

参加とアンケート

参加者アンケートでは、20代から90代まで、幅広い参加があり講演内容に対しては、86%の方が大変よかった、よかったと答え社会保障と福祉の今後に大きな関心があることがわかりました。

■第3回福祉講演会「フォーラム東日本大震災」を開催、復興に貴重な提起

日時

2011年10月29日(土)

会場

共済サロン

報告概要

震災復興と仕組みづくり

特別報告の宮城の中村さんは、自身の施設が流され、その被災の生々しい実態を報告、科学文明・技術万能のなかで人間の自然的感度が衰えていることが震災の最大要因と指摘、地域づくり、国づくりへ人間中心の仕組み作りを提起しました。

岩手県の中村さんは、パワーポイント画像で陸前高田を中心に被害状況を紹介し、あまり伝えられない保育所や障がい者施設、高齢者福祉施設の被災状況、救援対策を数字で報告、実際のボランティアや被災者の状況を伝えていただきました。

生協の活動にも示唆

シンポジウムでは、竹田ホップ代表、高木ねおす理事長、コープさっぽろ中島常務がそれぞれの団体の支援の取り組み状況を報告、短い時間のなかでしたが、弱者の立場への支援の有り方、暮らしを支える仕事つくり、生協の事業と活動を活かした取組みなど貴重な発言が相次ぎました。

震災は終わっていない。

アンケートでは、現地のリアルな報告が聞けよかった。復興はまだ終わっていない。

何が支援できるか、長いスパンで考えて行きたいなどの感想が寄せられ、8割以上の方が大変良かった、良かったとお応えいただき、思いの馳せるフォーラムとなりました。

第2回福祉講演会「今日の教育と貧困を考える」 

日時

 2010年10月15日(金)

会場

ホテルポールスター札幌

報告概要

松本伊智朗先生北海道大学教育学研究院教授を講師に招いて、「お母さん、わたし大学へいってもいい?~今日の教育と貧困を考える」と題して開催しました。当日はコープさっぽろの組合員など72名の参加で、「貧困による就学困難など教育格差は大きな社会問題」との松本先生の指摘に熱心に耳を傾けていました。当基金の育英奨学金制度の役割を改めて知らされました。

第1回福祉講演会「これからの地域の支えあいを考える」 

日時

 2009年10月17日(木)

会場

札幌サンプラザ

報告概要

杉岡直人先生(北星学園大学教授)を講師に招いて、地域における住民相互の助け合い、支えあいの大切さをお話しいただきました。